更新再開宣言してから一週間。実にいいタイミングである。*1
しかしこの一週間デュエルマスターズにたいして真っ当なアプローチをしていないのでその方面での更新はできないという始末。*2

■今日の一冊

ここで今日の更新を終えてもいいと思っているのだけど、さすがに140文字にも満たない記事ではツイッターでやれ状態なので本の紹介でもしてみようという必然性0のコーナーである。


まったき動物園/著:エドワード・ゴーリー 訳:柴田元幸



独特の作風でファンの心を捕らえて離さないエドワード・ゴーリーの作品のひとつ。
僕もまたゴーリーの一ファンであり、ゴーリーの著作のいくつかについて触れたことがある。
その中でもこの「まったき動物園」は格別の味わいを持った作品だろう。

AからZに対応した26匹の不可思議な生物が独特の音韻の紹介文付きで並んでいるという、ただそれだけの作品なのだが、なぜか、何度読んでも飽きが来ない。
1ページ目から順番に26匹を目に入れても適当なページを開きその一匹を堪能しても――飽きがやってこない。*3
では、ゴーリーの他の作品(例えば、ウエスト・ウイングなど)のように、読者の想像力を搔き立てる「意味ありげ」な匂いを持っていて、どうとでも解釈可能な世界観が(多くのゴーリー作品がそうであるように)魅力になっているのかというと‥‥そういうわけでもない。
幻獣たちの動作は珍妙だったり、あさましかったり、情けなかったりするものの、そこにはむしろ「無意味」という味付けが徹底されているように見えるのだ。
この作品は「解釈」や「理解」や「共感」といったものを読者に要求しない。作品そのものが「無意味」だから、である。*4
それでいてこの作品は「なにも無い」わけではないというのが実に珍妙で面白い。意味が無いが故に、ゴーリーの微細な筆致で描かれた幻獣たちと、その幻獣たちの小気味いい紹介文を100%楽しむことができる。「無意味」という味付けでもって奇妙な幻獣たちの世界観が完成されるというわけだ。
ゴーリーの世界観にどっぷり嵌れる一冊。

*1:長過ぎず短過ぎず。適度にどうでもいい放置期間

*2:イコール真っ当じゃないアプローチには余念がない。嗚呼素晴らしき哉人外フェティシズム

*3:26匹の幻獣全て、情けなく捻くれていて――はっきり言って不細工であるにも関わらず、だ

*4:解釈や理解や共感を要求しないが故に、飽きようがないのだ